小児科医による子どもの病気解説

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気管支喘息の危険因子

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気管支喘息の危険因子

今回は気管支喘息の発症・増悪の危険因子を個人因子と環境因子で分けて記載します。

気管支喘息の概論に関しては下記参照ください↓

www.kodomococoro.com

 

気管支喘息に関わる個人の因子

  1. 家族歴

両親が喘息の場合、その子供が喘息を発症する確率は3~5倍高いと報告されています。また、双子(一卵性双生児)の喘息発症の一致率は38~62%と高く、遺伝因子の寄与が示唆されています。また、小児期は女児より男児の方が多いことも知られています。成人における有病率では逆に女性の方多くなります。

  1.  素因

アレルギー素因はアレルゲンの暴露によってIgE抗体を産生しやすい体質のことを指します。いくつかの研究では新生児・乳児期にアトピー性皮膚炎となった場合、気管支喘息のリスクが高いことが知られています。また、早産、低出生体重児、母親の受動喫煙などがあると生まれつき気道過敏性が高くなることが知られています。

  1. 遺伝

喘息の発症に関与する遺伝子もいくつか報告がされるようになりました。(例えば、SMAD3遺伝子など)

 

気管支喘息に関わる環境因子

  1. アレルゲン

喘息患者は吸入アレルゲンに監査を認め、気道の吸入アレルゲンの暴露が気道の慢性炎症の誘導に関わっていると考えられています。室内アレルゲンでは、ダニやゴキブリ、ネコや犬やハムスターなどの毛、カビなどがあります。屋外アレルゲンでは花粉(スギ、ヒノキ、カモガヤ、ヨモギなど)、カビ、カなどがあります。アレルゲン暴露を予防することが発症予防と増悪予防の両方に効果があるといわれており、日本ではダニに感作した気管支喘息が多いため、室内からダニアレルゲンを除去することが大切です。

①床の掃除:床の掃除機がけはできるだけ毎日(最低でも3日に1回)行いましょう。

②畳床の掃除:床掃除と同様に最低でも3日に1回は行いましょう。

③床以外の清掃:タンスの上なども含め、年に1回は徹底した掃除を行いましょう。

④寝具等の管理:1週間に1回は寝具両面に掃除機をかけましょう。布団カバーやシーツはこまめに変えることが大切です。

⑤大掃除:年に1回は大掃除を行い、徹底的にダニを除去しましょう。

  1. ウイルス感染

RSウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトメタニューモウイルスが気管支喘息の発症に関与しているといわれています。ライノウイルスやエンテロウイルス、数多くの細菌感染も喘息の増悪に関わっているといわれています。

  1.  室内空気

①喫煙

乳児期の受動喫煙は気管支喘息の発症のみならず下気道感染のリスクを高め、学童期までの呼吸機能低下を引き起こす要因となります。両親の喫煙、妊娠期間中の母親の喫煙、祖父母の喫煙なども気管支喘息発症に関わる重要な環境因子となります。近年、販売数が増加している加熱式タバコでも気道上皮細胞への毒性を示すことは明らかになっています。

②PM2.5 、黄砂

PM2.5や黄砂の濃度が高いと気管支喘息の発作が誘発されやすいことが報告されています。

③その他

旗日、線香、蚊取り線香、焚火、煙、車の排気ガス、化粧品、香料なども喘息発作の誘因として報告されています。

  1. マイクロバイオーム

体内の細菌叢の確立が気管支喘息の発症に関わることも報告されています。気管支喘息患者の肺細菌叢は菌量が多く、細菌叢の変化を認めるようです。

  1. 気象

日照時間が短いと気管支喘息の有病率が増えることが報告されています。さらに、台風や気温の急な変化は気管支喘息の増悪関連因子です。具体的には前日よりも3度気温が下がった場合には起こりやすいです。湿度や気圧に関しては一定の見解はありません。

  1. その他

運動は喘息の発症・増悪に寄与します。

精神的ストレスも喘息の発症と増悪の両方に寄与します。

初潮が早い子が気管支喘息の有病率が高いことが報告されています。

抗生剤使用が気管支喘息の発症リスクになる可能性が報告されています。

 

参考文献:小児気管支喘息治療管理ガイドライン2020