小児科医による子どもの病気解説

病気で困っている子ども、パパママへ

被虐待児症候群

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被虐待児症候群とは

被虐待児症候群は、子どもに対しての虐待によって生じる広い意味での臨床的な症候群の総称です。

 

虐待の種類

①身体的虐待

殴る、蹴る、タバコを押し付ける、熱湯をかけるなどの身体的暴行です。

②ネグレクト

子どもに必要な養育を行わないことです。食事を与えない、身の回りの世話をしない、教育を受けさせない、医療を受けさせないなどが挙げられます。

③性的虐待

子どもに過度に性的刺激を与えることです。具体的には性交、性的接触を強要したり、ポルノを見せることも該当します。

④心理的虐待

心的外傷を与えることです。具体的には罵りや罵倒を繰り返し、兄弟間で極端な差別をすることも該当します。

 

虐待で起こり生じる症状

①身体的虐待による外傷(骨折、頭蓋内出血、火傷、揺さぶられ症候群など)

②身体的発達不全(低身長、低体重)

③対人関係の形成不全(反応性愛着障害)

④行動障害(多動性行動障害など)

⑤外傷後ストレス障害

⑥解離性障害

⑦複雑性PTSD症候群

 

症状

幼児期は反応性愛着障害(素直に大人に甘えたり、頼ったりできないこと)があり、学童期に多動性行動障害をとることが多いといわれています。なかには外傷後のストレス障害から解離症状が出現することもあります。さらに、学童時となると知的障害も少なくなく、適切な教育を受けれなかった影響も大きくなります。

虐待が影響する精神疾患は多種あり、個人差は大きいです。

 

診断

小児科に受診した際の不自然な経過は診断の手助けとなることがあります。私の経験では、子どもが1人で大学病院の外来に来て「転んだ」と訴えましたが、全身にアザが広がっているケースもありました。大人と受診した際にも、話が合わない怪我の場合は注意が必要だと考えています。

 

治療

一番大切なことは、子どもの安全の確保になります。必要であれば、保護する必要があります。虐待に脅かされる状況での治療は不可能だからです。

私たちは子ども達の未来を守る必要があります。

ご家庭のトラブルや家庭のことで子どもが心配な場合も小児科に是非ご相談ください。