ヒトメタニューモウイルスとは
ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は2001年に小児の呼吸器感染症より初めて発見されたウイルスです。発見当初は免疫抑制患者や基礎疾患がある患者さんからの報告が多かったのですが、徐々に一般小児、大人でも感染頻度が多い感染症であると分かりました。
現在では、生後6か月ころから初感染があり、2歳までに50%、5歳までに75%感染するといわれています。厄介な事に何度も再感染を起こし、RSウイルスとインフルエンザウイルスと同時に感染することもあります。小児の急性呼吸器感染症の5~10%の頻度と実は高頻度であることが分かっています。
症状
咳や鼻水や発熱などの症状が多くみられ、嗄声(声枯れ)やクループ症候群となることもあります。
↓クループ症候群は下記参照
下気道に感染するとゼーゼー、ヒューヒューと息苦しくなることがあります。気管支喘息との関連性も指摘されています。
↓気管支喘息は下記参照
RSウイルスとの混合感染で経過が長くなりやすいといわれ、1か月程度かけゆっくりよくなります。
↓RSウイルスは下記参照
診断・治療
診断は、症状から鑑別することは困難です。鼻から綿棒を入れて迅速検査を行います。レントゲンや診察によって肺炎が疑われる場合にヒトメタニューモウイルスの検査を行います。
治療は、特異的な治療がなく、他の風邪と同じような対症療法が中心となります。
登園・登校は、熱が下がり、咳や鼻汁症状がよくなり、食事水分がいつも通り取れるようになれば構いません。
感染経路
飛沫感染によって口や鼻から感染したり、皮膚からの接触感染により感染します。
生きている間に何度も感染することが知られています。
潜伏期間
4日~6日の潜伏期間を経て発症します。
家庭で気を付けること
①哺乳
鼻づまりが強いため、いつもより少量をこまめに与えましょう。痰や鼻水がからんで嘔吐してしまうことがあります。可能であれば、自宅でも寝かせる前や哺乳前に鼻汁吸引をしましょう。
②お風呂
発熱時は脱水となりやすいので、温タオルで拭いてあげる程度にしましょう。
③感染
子どもだけではなく大人にもうつることがあります。手洗い、うがいに努めましょう。