小児科医による子どもの病気解説

病気で困っている子ども、パパママへ

鼠径ヘルニア

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鼠径ヘルニアとは

鼠径ヘルニアは、精巣と共に拡大した腹膜が生後もも消退せずに開存している状態です。小児期の手術の原因のなかで一番多い病気です。3.5~5%の確率で発生し、未熟児ではさらに病気の頻度が高くなることが知られています。一般的には男子に多く、右側に多い特徴があります。腹腔内から飛び出るヘルニアの内容としては、腸管や大網や卵巣などがあり、腹腔内に戻らないことを嵌頓と呼びます。

 

症状

子どもが泣いた際などの腹圧上昇時に鼠径部や陰嚢、陰唇に腫脹が出現することが多いです。通常、痛みなどの変化は伴いません。

嵌頓している場合は、腹痛、嘔吐、不機嫌など様々な症状を伴います。

 

診断

視診と触診でヘルニアを確認し、独特の間隔をもって腹腔内に戻すことができれば診断できることが多いです。自然に戻ってしまう場合は、携帯カメラなどで撮影してもらうと診断することができます。

陰嚢水腫や停留精巣も鑑別診断となるため、超音波検査でヘルニアの中を確認することもあります。

 

治療

脱出したヘルニアの初期治療は、やさしく手で腹腔内に戻すことです。嵌頓して還納しづらい場合は鎮静薬などを使用することで、腹圧が低下して戻せることもあります。徒手整復がうまくいかない場合は、手術をおこなうことが多いです。嵌頓している状況であれば緊急手術となります。

子どもでは通常1歳を超えると自然に治癒する可能性は低いといわれています。1歳を過ぎて改善がないものは手術となることが多いです。ですから、鼠径ヘルニアが小さい時期から診断された場合は早めに小児科や小児外科を受診しましょう。