小児科医による子どもの病気解説

病気で困っている子ども、パパママへ

発達障害

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発達障害とは

発達障害は、生まれつき脳の発達に障害があることの総称です。幼児期に症状が現れることがほとんどで、人によって対人関係やコミュニケーションが問題であったり、落ち着きがなかったり症状は様々です。なかには、複数のタイプの発達障害を同時にもっている患者さんもいます。

 

発達障害の頻度

発達障害は比較的高頻度にみられる症状です。2012年の文部科学省の調査結果では全国の公立小中学校の通常学級に発達障害の可能性のある児童生徒が6.5%(男子9.3%、女子3.6%)いるという報告がされています。また、教師への調査で、知的発達に遅れはないが、学習面で問題となる児童が高頻度であると知られています。広義の学習障害(聞く、読む、話す、書く、啓さんする)が4.5%、不注意または多動性-衝動性が2.5%、対人関係やこだわりなどの問題が0.8%という結果でした。

 

発達障害の原因

多因子遺伝が原因といわれており、さらに環境要因が加わり発症すると考えられています。家族兄弟では当然遺伝子が似ているため、同一家系に同様の症状の人がいることはあります。自閉症は発端者の兄弟の発現率は4%程度、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の兄弟発現率は25~35%といわれています。

 

発達障害の分類

発達障害は大きく4つにわけることができます。

(詳細な分類はDSM5ですが、今回は割愛します。)

①知的発達の障害を中心とする知的能力障害(精神遅滞)

②自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)

③多動などの公道の問題を中心とする注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

④発達の一部分が特に障害されている部分的障害

 

①知的能力障害(精神遅滞)

知能検査によって測定される全般的知的機能が平均以下で、日常生活の行動が年齢相当の行動よりも明らかに低く、18歳未満で発症していることで診断されます。IQ値によって重症度分類はされますが、必ずしも社会的能力とは合致しません。

 

②自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)

典型的な自閉症を含め、自閉症に似た特徴を有する状態の総称です。レット障害、小児期崩壊性障害、アスペルガー障害などを含みます。

・自閉症

人とのかかわりが一方的で、相手の気持ちや状況を考えないマイペースな行動が目立ちます。会話の際、適切な表情、言葉の抑揚、ジェスチャーがうまく使えず、理解できません。また、興味や活動は同じものや同じやりかたにこだわる特徴があります。

・アスペルガー障害

言葉や認知の遅れはありませんが、対人関係の障害と行動・興味・活動の範囲が狭く、反復的であるという特徴があります。

③注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

落ち着きがなく、集中の持続ができない、気が散りやすく、忘れ物が多い、片づけられない、などが症状です。日常生活に困難を起こさず、周囲の人にも大きな迷惑をかけていなければ障害としてとらえる必要はありません。

診断は注意障害か多動性-衝動性障害のいずれかを認め、他の精神疾患が否定された場合にされます。

 

発達障害の治療

発達障害は早期に見つけて、サポート、治療することで改善率がよくなるといわれています。障害の程度や年齢、生活環境により異なりますが、まず対話や行動観察をして原因や問題点を明らかにすることが大切です。さらに認知行動療法などで、苦手とする学習やコミュニケーション能力を磨き、社会に適応する能力を身に着けます。さらに、自閉症の症状にはドパミン拮抗薬やセロトニン系薬剤を用いた薬物療法を行う場合があります。日頃の生活で、子どもの発達に心配がある場合は小児科へご相談ください。