小児科医による子どもの病気解説

病気で困っている子ども、パパママへ

コロナウイルス感染症・治療薬

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子どものコロナウイルス感染症

緊急事態宣言も解除され、感染者数は減少していますが、まだまだ予断を許さない状況は続いています。現在までに分かっていることを記載します。

・COVID-19患者の中で子どもが占める割合は少なく、その感染経路は家庭内感染がほとんどです。

・COVID-19に感染した子どもの多くは軽症であり、症状に応じた治療(対症療法)以外に治療が必要となることは極めて稀です。

・ただし、2歳未満では入院例や集中治療管理が必要となることがあります。また、基礎疾患がある場合にも重症化しやすい点には注意が必要です。

・ウイルスは鼻咽頭よりも便中に長期間、大量に排泄されます。

・COVID-19に感染した妊娠・分娩においても、母子共に重症化することは少なく、母から子への感染も稀のようです。

・海外の報告では、学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しいという報告もあります。(Bayham J, et al, Lancet Public Health. 2020 Apr 3; 5: E271-8.)

 

子どものコロナウイルス治療薬

抗ウイルス効果を期待する薬

レムデシビル(ベクルリー®)

成人でのランダム化比較試験で有効性が検出されたことをうけて、「SARS-CoV-2による感染症」に対する治療適応が年齢制限なく承認されました。これまでの小児での使用経験は、エボラウイルス病患者への投与など極めて限られており、腎・肝障害の副作用が報告されています。

現時点では有効性と安全性のデータは十分でないため、投薬により得られるメリット/デメリットをよく考えて使用する必要があります。現状では、人工呼吸器やECMOを使用している重症患者さんが投与の対象となると考えられています。

ファビピラビル(アビガン®)

COVID-19の小児患者に対する有効性・安全性はランダム化比較試験では証明されていません。現在15歳以下の小児患者に対しての使用報告はなく、小児への適応はないとされています。

シクレソニド(オルベスコ®)

基礎研究で抗SARS-CoV-2効果が報告され、COVID-19の成人患者に投与されることもあります。本来は気管支喘息への治療薬です。しかし、有用性に関する報告は限定的で、COVID-19の小児患者への報告はありません。今後も検討をようする薬剤とされていますが、添付文書上は「有効な抗菌剤の存在しない感染症」への投与は禁忌とされており、使用する際は施設の倫理審査などで許可を得る必要があります。

ロピナビル・リトナビル合剤(カレトラ®)

本来はHIV感染小児患者へ使用されていた薬剤で、現時点ではCOVID-19の小児患者への有効性のエビデンスがないため、積極的な投与は推奨されていません。

ヒドロキシクロロキン(プラケニル®)

本来は全身性エリテマトーデスに使用されている薬剤です。COVID-19の成人患者への有効性は示せておらず、小児患者への使用経験もほとんどなく、不整脈の副作用もあるため、投与は推奨されていません。

イベルメクチン(ストロメクトール®)

本来は腸管糞線虫症や疥癬に使用する薬剤です。現時点ではCOVID-19への有効性の十分なエビデンスがないため、積極的投与は推奨されていません。有効性を示す1つの研究が査読前論文としてインターネット上で公開されていたが、データ分析に疑義が生じて現在はリンクが切れています。

ナファモスタットメシル酸塩(注射用フサン)

本来膵炎や汎発性血管内血液凝固症(DIC)の際に使用する薬剤です。小児への用法・要領の設定はなく、現時点ではCOVID-19の小児患者への薬剤有効性は不明です。

 

免疫病態の抑制効果を期待する薬

デキサメタゾン

抗ウイルス効果はなく、COVID-19重症例における免疫病態の改善を目的として使用されます。大規模なランダム化比較試験の予備的解析から、COVID-19の成人重症例のデキサメタゾン投与が致死率下げるという報告がされました。まだ、小児でのデータが乏しく更なる研究報告が待たれますが、小児でも比較的用いる経験がある薬であることから、今後小児重症患者の予後の改善が期待されます。

トシリズマブ(アクテムラ®)

元々若年性特発性関節炎や高安動脈炎に使用されている薬です。現時点ではCOVID-19に対する処方は適応外でもあり、有効性・安全性は確率されていません。

 

さらに詳細をご覧になりたい方は日本小児科学会(https://www.jpeds.or.jp/)をご参照ください。

 

引き続き油断せず、手洗い、うがいを徹底し、ソーシャルディスタンスを取り、感染予防を徹底しましょう!