小児科医による子どもの病気解説

病気で困っている子ども、パパママへ

起立性調節障害

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6月からいよいよコロナ休校から明けて、新学期が始まります。

通年4月に増えてしまうこの病気ですが、今年はこれから増えることが予想されます。

朝起きれない、学校へ行けない、など症状が出現した際は、お子さんを責めることをせず、まず小児科にご相談ください。

 

起立性調節障害(OD)とは

起立性調節障害、通称OD(Orthostatic dysregulation)は中学生の10%が抱えているといわれる非常に頻度の高い病態です。立ちくらみやめまいが起こり、立っていると気持ちが悪くなる、倒れてしまう、などの症状が多く循環系自律神経機能不全が原因となり様々な症状が不均一・不安定に起こります。

 

起立性調節障害の診断

疑われた場合、まずOD症状があるかチェックします

チェック項目

①たちくらみ、めまいを起こしやすい

②立っていると気持ちが悪くなる、ひどいと倒れる

③入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると、気持ちが悪くなる

④少し動くと動悸あるいは息切れがする

⑤朝なかなか起きられず午前中調子が悪い

⑥顔色が青白い

⑦食欲不振

⑧臍疝痛をときどき訴える

⑨倦怠あるいは疲れやすい

⑩頭痛

⑪乗り物に酔いやすい

上記の2つもしくは3つ以上あれば、次に、基礎疾患がないか確認する必要があります。そのために、血液検査、尿検査、甲状腺機能検査、心電図、胸部X線などを撮影します。

基礎疾患がないことが確認できた場合、「新起立試験」を行います。

 

新起立試験

新起立試験は、10分間横になり血圧や心電図を装着します。その後、起立してもらい、10分間の血圧や心電図の変動を測定する検査です。転倒や意識を失うリスクがあるため、必ず医療者が見守っている状態で行います。

この検査によりODの診断、4つのサブタイプに分類、および身体的重症度が分かります。

 

最後に、「心身症としてのOD」かどうかチェックします

チェック項目

①学校を休むと症状が軽減する

②身体症状が再発・再燃を繰り返す

③気にかかっていることを言われたりすると症状が増悪する

④1日のうちでも身体症状の程度が変化する

⑤身体的訴えが2つ以上にわたる

⑥日によって身体症状が次から次へと変化する

上記の4項目が時々(週1,2回程度)認められる場合「心身症としてのOD」と診断されます。

 

起立性調節障害の治療

ODの治療として、疾病教育(ODについて知ること)、非薬物療法は必須になります。さらに、必要に応じて学校への指導や連携、薬物療法、環境調整、心理療法が必要となる場合があります。

 

起立性調節障害について知ってほしい事(疾病教育)

一番大切なことは、ODは身体疾患であるという事実です。自律神経の働きが悪化し起立時に脳などへの血流が低下して、朝起きれない、食欲不振、倦怠感、嘔気、立ち眩みなどの症状が出現します。日内変動もあり、午前中に悪化しやすいです。季節性もあり、春から夏にかけて悪化しやすいことが知られています。決して「なまけ癖」などではないため、気持ちの持ちようや夜更かしの是正だけでは改善しないことが多いです。また、叱咤激励などでも改善しません。

適切な治療を行うと軽症では数か月以内で改善することが多いです。中等症では1年間で約半数の方が、2,3年で70~80%の方が改善することが知られています。不登校を伴う場合は、1年後の復学率は約30%であり、短期間で復学は困難で、2,3年かかる場合があります。一度症状が改善した場合であっても、再発することもあります。

 

非薬物療法

・起き上がる時は30秒くらいかけて、ゆっくり起き上がる。(歩き始めは頭を下げている方がおすすめ)

・日中はなるべく横にならない。

・早寝早起きを心がける。(30分ずつ就寝時間を早める)

・一日30分程度の運動をしましょう。

・塩分は10g/日と多めに摂取し、水分も一日1.5l/日(多めに)とるようにしましょう。

・弾性ストッキングや加圧式腹部バンドなどを使用することもあります。

 

薬物療法

薬物療法は、塩酸ミドドリン(メトリジン)、メチル硫酸アメジニウム(リズミック)、プロプラノロール(インデラル)といった昇圧剤を使用します。効果があると実感できるまでに2週間ほど時間がかかるため、事故中断しないように注意が必要です。動悸などを感じた場合は、必ず主治医に相談しましょう。

 

環境調整、心理療法

環境調整を行うためには、子どもから家族のこと、学校のこと、友人関係など十分な情報が聞く必要があります。通常、子どもだけからカウンセリングを行い、時間をかけて話を聞かせてもらうことが多いです。傾聴を行うと、環境調整すべき箇所が見えてきます。本人、家族と相談しながら焦らず治療をこころがけています。