小児科医による子どもの病気解説

病気で困っている子ども、パパママへ

川崎病

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川崎病とは

1967年に川崎富作先生が発見した症候群で、特に日本人や韓国人などアジア系の人々に多くみられます。(日本での患者は年間15000人前後)原因は未だに分かっていませんが、ウイルス感染などを契機に全身の血管に炎症が生じる疾患なのではないかという説があります。(自己免疫疾患説など諸説あります。)しかし、治療法は確立されている疾患です。発症年齢は主に乳幼児期に多いです。稀に冠動脈瘤を合併することがあり、早期に治療することが重要な疾患です。

症状・診断

特徴的な症状から診断します。

<主症状> 

①発熱(川崎病診断の手引き改定6版(2019年)から発熱の日数5日は削除)

②発疹(BCG接種部位の発赤も含む)

③両目の白目が充血する(眼球結膜充血)

④唇が赤くなる、苺舌

⑤発熱時に両手足のひらが赤くなる。解熱後に手足の皮膚が指先からむける(膜様落屑)

⑥頚部リンパ節の非化膿性腫大

<診断> 

・主症状の5症状認めた場合、川崎病と診断する。

・主症状の4症状に加え、冠動脈病変を認めた場合、川崎病と診断する。

・主症状の3症状しか認めないが、他の疾患が否定され、冠動脈病変を認めた場合、不全型川崎病と診断する。

・主症状の3症状しか認めないが、他疾患が否定され、参考所見(血液検査、尿検査、心エコー所見など)から川崎病が最も疑われる場合、不全型川崎病と診断する。

治療

早期に治療し解熱させることで、冠動脈病変(後述)を予防できることが知られています。原則として入院加療が必要となります。

<急性期の治療>

・免疫グロブリン製剤

・ステロイド点滴を併用する場合もあります。

・抗血小板薬(アスピリン)投与

・冠動脈病変ある場合、抗凝固薬も使用

<追加治療(解熱しない場合)>

・免疫グロブリン製剤の再投与

・血漿交換、免疫抑制剤投与など

<慢性期の治療>

冠動脈病変の有無により治療方法が異なります。

・抗血小板薬の内服や抗凝固薬の内服が長期に必要となる場合があります。

・平均して発症後5年程度、経過観察する場合があります。

川崎病の合併症

・冠動脈病変(瘤形成、瘤破裂、瘤の閉塞、狭窄など)

・心筋炎、心膜炎

・不整脈

・弁膜障害(僧帽弁、三尖弁の閉鎖不全)

心臓にかかわる病気が多いです。

川崎病の冠動脈病変

川崎病では冠動脈病変を合併することがあります。

冠動脈は、心臓が心臓自身に血液を供給するとても大切な血管です。この血管が詰まってしまえば、心筋梗塞になってしまいます。

川崎病の急性期(発熱から主に1か月間)は冠動脈に血管炎が起こることで、冠動脈が軽度膨張したり、ひどい場合には瘤を形成します。

急性期を過ぎた後、血栓ができやすくなるため塞栓が起こらないように抗血小板薬や抗凝固薬を内服して、血液をサラサラにしておく必要があります。

更に時間が経つと、急性期に膨らんだ瘤は退縮し、その前後に狭窄した病変をつくることがあります。このような狭窄病変は、年数とともに緩やかに起こるので、突然に塞栓することは少ないですが、定期的にカテーテル検査などが必要となる場合があります。

川崎病の予後

1977年ごろから抗血小板薬(アスピリン)の内服治療が行われていました。当時は急性期の冠動脈拡大が約40%、1年後の冠動脈障害を約10%も認めたそうです。

1982年から免疫グロブリン療法がおこなわれるようになりました。この時期には、急性期の冠動脈拡大は約20%、1年後の冠動脈障害は7%にまで減少したそうです。

現在では、できるだけ早期に解熱させることで冠動脈病変を予防できることが広く知られるようになりました。その結果、2000年に入ってからは、1年度の冠動脈障害は5%程度まで低下してきています。

しかし、依然として免疫グロブリン療法で解熱しない「不応例」や、症状が揃わず診断が遅れてしまいがちな「不全型」なども存在し、時に大きな後遺症を引き起こすこともある疾患です。

ご家族に知っていてほしいこと

川崎病で重要なことは、症状が同時に出現するわけではないということです。最初は、発熱・発疹だけ出現していたが、その後頸部リンパ節の腫大から首を動かさなくなり、川崎病と診断された、なんてことはよくあります。

日頃から、子どもをよく見ていただき、気になることなどあれば、かかりつけの小児科の先生に何でも相談・報告してください。診断のヒントになることはよくあります!