今回は、日本では現在流行していませんが、予防接種の4種混合ワクチンに含まれるポリオについて記載したいと思います。
実際かかってしまうと恐ろしい病気ですので、必ずワクチンを接種し予防をしましょう。
ポリオとは
ポリオは、ポリオウイルスが引き起こす感染症で、5歳未満の子供に症状がでることが多いです。日本では1940年頃から全国的に流行し、麻痺の後遺症を残した方が多くみられました。予防接種の普及により、1980年を最後に国内での発生はなくなりました。
症状
感染者の90~95%に症状はなく、あっても自然に治癒します。
しかし、約5%前後には発熱、頭痛、咽頭痛、悪心、嘔吐、倦怠感、便秘などの症状を認めます。
さらに、1~2%は上記症状に続き、無菌性髄膜炎を起こします。
そして、0.1~0.2%に麻痺が突然に出現します。この麻痺が後遺症として残るのは、一部の方です。
死亡率は小児で2~5%、成人で15~30%と比較的致死率の高い病気です。
診断・治療
糞便中からウイルスを分離します。また、血液検査でも診断はできますが、ワクチン接種後には免疫があるため、補助的な検査になります。
治療方法は、対症療法しかないため、予防することが何よりも重要になります。
感染経路
咳嗽、鼻汁による飛沫感染によりうつります。
潜伏期間
4日から35日後とばらつきがあります。
予防接種について
日本国内では、1980年を最後に患者はでていませんが、パキスタンやアフガニスタンなどの南西アジアやナイジェリアなどのアフリカ諸国では依然としてポリオが流行しています。現在は日本国内にポリオが入っても、ほとんどのヒトが免疫をもっているので流行する可能性は低いです。しかし、ポリオの予防接種を中止してしまうと、国外から侵入したポリオが流行する可能性があります。
以前はポリオワクチンは弱毒性の生ワクチンを使用していましたが、麻痺などの副作用が稀に報告されていました。現在は不活化ワクチンを使用することで、安全性がさらに改善されました。